空気調和・衛生工学会「試して学ぶ熱負荷HASPEE ~新最大熱負荷計算法~」準拠最大熱負荷計算ソフトウエア



ソフトウエア概要 エクセル負荷計算は、従来の熱負荷計算ソフトウエアに存在した数々の妥協と矛盾のほとんどを解決した、最新の熱負荷計算ソフトウエアです。
【地域から地点へ】
 ■従来80地域程度しかなかった外界条件参照地域→842地点の詳細データへ。
 ■従来6地域程度しかなかった実効温度差参照地域→842地点の詳細データへ。
【現実離れした外気温湿度条件の使用廃止】
 ■TAC温度及び同様に処理した絶対湿度を組み合わせた温湿度条件(注1)の使用を廃止→様々な考察による、より現実的な気象データ(HASPEEデータ)を使用。
【Bouguerの式の使用廃止】
 ■大気透過率を固定してBouguerの式で概算していた日射データを廃止観測値から得た日射データを使用
【あいまいな係数の使用廃止】
 ■間欠運転係数、方位係数→実用蓄熱負荷
 ■送風機負荷係数→送風機静圧と静圧効率から具体的に負荷を計算(指定した場合)。
【時刻別内部負荷パターン】
 ■壁体貫流負荷などより影響の大きな内部負荷化稼働率は固定していた→国立研究所による時刻別発熱比率パターンを採用。
【建物方位角に対する補正】
 ■建物方位角に対する実効温度差、ガラス透過熱取得、日照面積率は固定していた→すべてを建物方位角により補正、再計算
【簡易負荷計算ソフト並みの簡単入力】
 ■壁体記号、平面図上の長さ以外はほとんど自動設定されるため、入力にかかる作業時間を大幅短縮
【さらに】
 ■壁タイプではなく、壁構成ごとに実効温度差計算用無次元化貫流応答係数を計算し、実効温度差を計算可能に。
 ■上記により、傾斜屋根、厚さ500[mm]を超える重量壁でも正確な実効温度差を計算可能に。
 ■空気線図も含め、必要なすべての計算書を一気に作成

☆ここがポイント!!! ■空気調和・衛生工学会による最新理論、国立研究所による最新データ
空気調和・衛生工学会による新しい熱負荷計算法である「試して学ぶ熱負荷HASPEE ~新最大熱負荷計算法~」(Ref1)
に示されている熱負荷計算方法を、可能な限り忠実に実行します。(注2)
また、内部負荷、建築材料物性値データなどは、国土交通省 国土技術政策総合研究所,国立研究開発法人 建築研究所によるものです。
この分野において、最も信頼できる最新の理論(計算方法)と最新のデータにより、精度の高い計算を実現しています。

■新たに追加された2つの入力補助機能により作業時間を大幅に短縮
【クイックシートとクイックエディット】
クイックエディットとは、クイックシートという1枚のスプレッドシートに最小限の情報を与えることにより、
すべての部屋の入力シートを一括作成又は編集する機能です。
クイックエディットで、クイックシートで指定したすべての部屋の「各室熱負荷入力」シートが作成され、
温湿度条件、人員、人体からの発熱負荷、照明負荷、OA(一般)機器の負荷及びその時刻別稼働率(発熱比率)外気風量、実用蓄熱負荷に関する情報、
Webプログラム用の室用途名称など、外壁、屋根、窓、内壁などの記号と寸法以外はほとんどすべてセットされます。
クイックエディットは、例えば天井高などを一括変更したい場合など、絶大な威力を発揮します。
すなわち天井高を変更すれば、すべての内壁の高さが一気に変更され、階高を変更すれば、すべての外壁の高さが一気に変更されます。

【壁構成パターン学習機能】

熱貫流率データ作成時、過去に登録した壁構成パターンをスペースキーで次々に呼び出すことができます。
最後に登録又は使用したパターンは常に候補の先頭に移動するため、
日本語入力機能の辞書のように、使用頻度の高いパターンは候補の上位に、使用頻度の低いパターンは候補の下位になっていきます
この機能は、単調な熱貫流率データ作成作業のストレスを低減し、作業効率を飛躍的に向上させます。

■完結されたエクセルワークブックとしての計算書を出力
気象条件表、熱貫流率表、各室熱負荷計算書、空調機ごと集計表及び空気線図、熱源集計表
などの一連の計算書をすべて自動作成し、ひとまとまりのドキュメントとしての熱負荷計算書を完結。
一般的な熱負荷計算ソフトウエアのように、各室の負荷を集計した後、システム条件を設定し、空気線図を引き、空調機容量を計算する・・・
という手順を踏むことなく、一連の計算書を一気に自動作成できます。


WEBPRO Ver2 エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)データ出力機能
エクセル負荷計算のデータを一括自動変換し、
建築物省エネ法の届出等において使用する「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」の
入力データ記入用のエクセルワークブックである「外皮・設備仕様入力シート」の
以下の5つのシートに一括自動記入することができます。
「1)室仕様」
「2-1)空調ゾーン」(「空調機群名称」欄の一部を除く)
「2-2)外壁構成 」
「2-3)窓仕様」
「2-4) 外皮 」(「日除け効果係数」欄を除く)
☆Version1.22では、非主要室の候補となる部屋のデータが一目でわかるよう、色付けできるようにしました。
 (「2-2)外壁構成 」、「2-3)窓仕様」を除く)



実用蓄熱負荷の自動計算
HASPEEにおける一つのハードルは、煩雑な実用蓄熱負荷の計算です。
エクセル負荷計算は、この煩雑な計算を、書籍に忠実に完全に自動化しています。
もちろん、1室を複数のゾーンに分離した場合でも、実用蓄熱負荷は部屋全体として計算します。


■ドライコイル空調システム(顕熱潜熱分離空調システム)対応
低CO2な除湿空調システムであるドライコイル空調システムをはじめ、様々な空調システムに対応しています。
オフィスビルのみならず、特殊な条件を要求される産業空調にも幅広く対応します。
(Version 1.10 からはデシカント除湿にも対応しました。)


■複数のシステム条件を設定、比較可能
一つの入力データブック(プロジェクト別データ)に、複数のシステム条件を設定できます。
これにより、計画段階において、いくつかの条件を設定し、簡単に空調機や熱源容量を計算できるため、
様々な空調システムに対する比較検討を行うことができます。


■最新の気象データが利用可能
気象データは空気調和・衛生工学会がWEB上に無償公開している、全国842地点の気象データを、ユーザー様ご自身でダウンロードし、
計算に使用していただきます。
したがって、最新の気象データが利用可能であるだけでなく、任意のバージョンのデータを使用できることになります。
(ただし、今後、WEB上のデータが更新されるかどうかは不明です。)
☆ダウンロードは最初に一括して一度行うだけです。


■「標準室使用条件」(Ref2)を内蔵
「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」が計算に使用している
人員密度、照明負荷密度などをまとめた「標準室使用条件」を内蔵しています。
これにより、最新の調査、研究に基づく内部負荷データを簡単にセットできます。
このことは、「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」との理論的な整合性を保つことにも役立ちます。


■時刻別に設定できる内部負荷稼働率、ブラインド開度、夜間の外気風量
人間、照明、OA機器や生産装置などの内部負荷に対しては、24時間、時刻別に稼働率を指定可能です。
同様にブラインドの開度も、時刻別に指定できます。また、日射量に応じて自動的に開閉する指定もできます。
さらに、24時間空調の場合など、夜間の外気風量を昼間の外気風量と別に指定し、その適用時刻を指定できます。
☆Version 1.23 で、人間、照明、OA機器について、
「標準室使用条件」の発熱比率スケジュールを時刻別稼働率として取り込めるようにしました。

■最新の物性値(Ref8)
「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」が計算に使用している
建築材料の物性値を内蔵しています。(Version 1.23 にて更新)
空気調和・衛生工学会のオリジナルデータに対し、それほど大きな変更はありませんが、信頼できる最新のデータです。
なお、材料IDと名称は変更していませんので、エクセル負荷計算Ver 1.23 より前のバージョンで作成したデータはそのまま使用できます。

■HASPEEの更新窓データを内蔵
HASPEEのために用意されている248種類のガラス窓データを内蔵しています。


■熱負荷計算の観点からのシステムチェック機能
設定したシステム条件に対し、例えば除湿が可能かどうか、加湿が可能かどうか、
除湿を行わない場合は、部屋の相対湿度がどこまで上昇するのか、
さらには加湿を行わない場合は、部屋の相対湿度がどこまで下降するのか、
ある部屋にルームサーモを設置した場合、他の部屋の温度や湿度がどの程度目標値から外れるのか・・・
などの様々なシステムチェックを、熱負荷計算の観点から行うことができます。(注3)
これにより、空調システムの根底を揺るがすような、重大な設計ミスをおかすリスクを低減することができます。
詳細はこちら⇒システムチェックの例

■計算プロセスに対する高いトレーサビリティ
実務現場において、計算書に求められる重要なポイントのひとつとして、計算プロセスをいかにトレースできるかということがあります。
エクセル負荷計算では、状態関数の計算、各種の収束計算以外は、計算内容を可能な限り可視化しています。
これにより、計算内容のチェック、クライアントに対する説明時に、その計算プロセスをトレースしやすくしています。
また、そのまま可視化すると煩雑になりすぎる情報は、別の形で確認できます。
例えば、空気線図の各状態点の凡例部分には、その詳細情報がコメントとして記入されています。
また、各室熱負荷計算書のガラス透過日射負荷や貫流負荷の記入欄には、どのような数値の積なのかを数式で記入してあります。
このようなことは、すべてがエクセルワークシートとして出力されることのメリットのひとつです。


■エキスパート向けの様々なオプション
空調設備設計のエキスパートの要求に応じるべく、様々な計算オプションをご用意してあります。
例えば、細かな建物方位角や、傾斜のある壁面に対する正確な実効温度差、ガラス透過日射熱取得の計算が可能です。
これは、エクセル負荷計算が、熱負荷計算ソフトの基礎ともいえる、以下の機能を持っているためです。
1.直散分離計算
2.斜面日射量計算
3.実効温度差計算用無次元化貫流応答係数計算
さらに、直散分離モデルにはHASPEEデータで採用されている渡辺モデル(Ref1-6)をはじめとし、以下のモデルを選択できます。
1.渡辺モデル(Ref3)
2.Erbsモデル(Ref4)
3.永田モデル(Ref5)
4.宇田川モデル(Ref6)
斜面日射量計算モデルは、HASPEEデータで採用されているPerezモデル(Ref7)です。
また、応答係数の項数は当該時刻を含めて168(y0~y167、1週間分)です。
これにより、例えばRC単層の場合では、おおむね厚さ750mmまでの重量壁にいたるまで、正確な実効温度差を計算できます。


エクセル負荷計算の主な仕様

参考文献

Ref1 公益社団法人 空気調和・衛生工学会:「試して学ぶ熱負荷HASPEE ~新最大熱負荷計算法~」(2012-10),丸善
Ref2 国土交通省 国土技術政策総合研究所,独立行政法人建築研究所(注5):
   平成25年省エネルギー基準(平成25年9月公布)等関係技術資料-一次エネルギー消費量算定プログラム解説(非住宅建築物編)-,
   国総研資料 第762号,建築研究資料 第149号(2013-11),pp.100-108
   ただし、照明、OA機器、人体の各発熱比率スケジュールは下記
   国立研究開発法人 建築研究所(協力:国土交通省 国土技術政策総合研究所):
   「標準室使用条件の詳細」,2014.04.19更新
Ref3 渡辺俊之,浦野良美,林徹夫:水平面全天日射量の直散分離と傾斜面日射量の推定,日本建築学会論文報告集第330号(1983-8)
Ref4 Erbs, D.G., S.A.Klein, J.A.Duffi:
   Estimation of the Diffuse Radiation Fraction for Hourly,Daily and Monthly Average Global Radiation, Solar Energye, Vol.28, No.4(1982)
Ref5 永田忠彦:天空日射に関する Berlage の式に対する疑問,日本建築学会大会学術講演梗概集(計画系),(1975-10)
Ref6 宇田川光弘,木村健一:水平面全天日射量観測値よりの直達日射量の推定,日本建築学会論文報告集第267号(1978-5)
Ref7 Richard Perez,Pierre Ineichen,Robert Seals,Joseph Michalsky,and Ronald Stewart:
   MODELING DAYLIGHT AVAILABILITY AND IRRADIANCE COMPNENTS FROM DIRECT AND GLOBAL IRRADIANCE(1990)
Ref8 国土交通省 国土技術政策総合研究所,国立研究開発法人 建築研究所:
   平成28年 省エネルギー基準(平成28年1月公布)関係技術資料,エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)解説
   国総研資料 第973号,建築研究資料 第182号(2017-6),pp.38-39
   表2-2-2 建材の種類と物性値一覧
Ref9 国土交通省 国土技術政策総合研究所,国立研究開発法人 建築研究所:
   平成 28 年 省エネルギー基準(平成 28 年 1 月公布)関係技術資料 モデル建物法入力支援ツール 解説
   国総研資料 第974号,建築研究資料 第183号(2017-6),p.46

ご注意

注1: 建築設備設計基準(平成30年板)では、乾球温度の他、比エンタルピそのものをTAC値とすることにより、この問題を解決しています。
注2: 住宅の計算には対応していません。
注3: 実際には、室内温湿度が計算時の条件から外れた場合、貫流負荷、人体負荷、隙間風負荷などが変化します。
従って、厳密には、熱平衡式を作成して収束計算を行わなければなりません。
しかしながら、エクセル負荷計算は実務用最大熱負荷計算ソフトウエアであるため、そのような厳密な計算は行いません。
エクセル負荷計算は、最初に計算した各室の負荷は室内温湿度により変化しないものとして、
供給される空調空気の状態変化量のみから、簡略的に室内温湿度を計算します。
その他、簡易計算であるため以下のようにしています。
■冷房時の上限温度及び暖房時の下限温度
 冷房時上限温度及び暖房時下限温度は、自室の隣室温度差係数(指定がない場合は0.3)から計算した非空調時の温度であるとします。
 つまりその温度において熱平衡状態になっていると考え、それ以上もしくはそれ以下にはならないものとします。
■空気線図にプロットする室内ポイント
 室内ポイントとは、リターンエアー温度制御の場合、実際にはリターンエアーのポイントです。
 リターンエアーの温度は(各部屋の室内温度×各部屋のリターンエアー風量)の合計値 / 各部屋のリターンエアー風量の合計値です。
 ここで、リターンエアー温度制御を行っていると仮定すると、吹き出しポイントなどが設計値とずれることになります。
 この時、定常状態に達したときの各状態点を求めるためには、大掛かりな収束計算が必要です。
 エクセル負荷計算はシミュレーションソフトではないため、
 このような大掛かりな収束計算に時間をかけることは妥当ではないと考えます。
 そこで、以下のように仮定しています。
【ルームサーモが設置されていない場合またはルームサーモが無効になっている場合】
 各部屋の状態点における乾球温度は設計値であるとします。つまり、室内ポイントの乾球温度は設計値の値であり、
 実際のリターンエアーの乾球温度ではありません。
【一室でもルームサーモが設定されていてルームサーモが有効になっている場合】
 設計上の吹き出しポイントは固定し、給気された空気の状態変化量から各室の温湿度を計算したあと、
 (各部屋の室内温度×各部屋のリターンエアー風量)の合計値 / 各部屋のリターンエアー風量の合計値
 から計算したリターンエアーの状態点を室内ポイントとします。
 同様に、排気の温度は(各部屋の室内温度×排気風量)の合計値 / 各部屋の排気風量の合計値です。
 全熱交換機の余剰排気のポイントも、リーターンエアーの場合と同様に考えます。
 また、一体形ドライコイルシステム(ダブルコイルシステム)の場合、室内絶対湿度は設計値であるとします。
 さらに、デシカントシステムの場合、余剰排気ポイントは設計値であるとします。
 これらはともに、大掛かりな収束計算を避けるためです。

厳密なシミュレーションが必要な場合は、
エネルギーシミュレーションツール「The BEST Program」(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)などを用いてください。

注4: 内蔵データのすべては、各団体より正規に使用許諾をいただいております。
注5: 独立行政法人建築研究所は、2015年4月、国立研究開発法人建築研究所となっています。