それに対する空気調和・衛生工学の新最大負荷計算法「HASPEE」(Ref2)における解決策について簡単にご説明します。
【問題点1】外気温湿度
熱負荷計算に使用する外気温湿度は、長い間、TAC温度をベースにしていました。
TAC温度とはある期間、例えば10年間の気温のデータをサンプルとして、超過確立を定めて単純に統計処理した値です。 さらに「空気調和・衛生工学便覧」をはじめとする多くの気象データは、絶対湿度に対しても同様の統計処理を行い(注1)、 それぞれ単独に最も厳しい条件を組み合わせて、これを設計用温湿度条件とします。これはある意味、 現実にはあり得ない厳しい気象条件です。
このような議論になったとき、
「地球は温暖化しているのですよ。厳しいなら安全サイドなのだからいいのではないですか?
それより空調設備の容量が足りなかったら大問題。はい、論破!」
最後のフレーズは余計なこととして、このような意見がすぐに飛び出してきそうですね。
では、このことはとりあえずおいておきましょう。
TAC温度とはある期間、例えば10年間の気温のデータをサンプルとして、超過確立を定めて単純に統計処理した値です。 さらに「空気調和・衛生工学便覧」をはじめとする多くの気象データは、絶対湿度に対しても同様の統計処理を行い(注1)、 それぞれ単独に最も厳しい条件を組み合わせて、これを設計用温湿度条件とします。これはある意味、 現実にはあり得ない厳しい気象条件です。
このような議論になったとき、
「地球は温暖化しているのですよ。厳しいなら安全サイドなのだからいいのではないですか?
それより空調設備の容量が足りなかったら大問題。はい、論破!」
最後のフレーズは余計なこととして、このような意見がすぐに飛び出してきそうですね。
では、このことはとりあえずおいておきましょう。
【問題点2】日射負荷
Id=Ib・cosθ・・・(1-1)
cosθ=sinβS・cosβW+cosβS・sinβW・cos(αS-αW)・・・(1-2)
Id:外壁面が受ける直達日射量[W/m2]
Ib:法線面直達日射量[W/m2]
θ:入射角度(外壁面に対して垂直の場合を0とする)[°]又は[rad]
αS:太陽方位角(南向きを0とし、西に向かって正)[°]又は[rad]
βS:太陽高度角(水平を0とする)[°]又は[rad]
αW:壁面方位角(南向きを0とし、西に向かって正)[°]又は[rad]
βW:壁面傾斜角(建物内側から測った角度、水平を0とする)[°]又は[rad]
よほど頭の良い方でないと、上の式の与える計算結果、簡単に直感できないですよね。
外壁はたいてい地面に対して垂直に立っていますから、
βW=90[°]
cosβW=0,sinβW=1
となり、(1-2)式は
cosθ=cosβS・cos(αS-αW)・・・(1-3)
となり、ようやく凡人にも理解できるレベルになりました。
さて、何が言いたいのかといいますと、βSが変化しないとすると、αS-αW が 0 に近いとき、 つまりは南側の外壁面に対しては正午あたりが、もっとも cosθ が大きくなる、つまりは外壁面が受ける直達日射量が大きいということです。
「それがどうしたんですか、べつに・・・」
と言われそうですが、βSが一定なら、南側の外壁面に対しては正午あたりが直達日射が最大になる、ではその時の βS と cosβS はどうなのか、 いつどうなのか、冷房時の日射負荷の計算日=外気温度が最高になる7月下旬から8月上旬にはどうなのか、そのころは太陽高度角が大きい、だから cosβS は小さい・・・・
南向きの外壁面が受ける直達日射は、外気温度が最高になる時期には過小評価される可能性がある、
だからといって壁体の方位ごとに日射量の計算日を変えると混乱を招く(便覧の日射量計算日は7月23日)、
つまり7月下旬から8月上旬のデータを採用すると南向きの外壁面の相当外気温度が過小評価され、
その結果、カーテンウォールなどの軽量壁では実効温度差が過少になる可能性がある!!!ということなのです。
さらに大きいのは、ガラス透過日射熱取得です。多少ややこしいので覚悟してください。
ではガラス透過日射熱取得の場合について簡単にご説明します。
qGd=μd・Id
qGd : ガラス透過日射熱取得の直達成分[W/m2]
μd : 直達日射に対するガラス日射熱取得率[-]
Id : 窓ガラスに対する直達日射量[W/m2]
さて今度は直達日射に対する日射熱取得率 μd をきちんと考えます。
日射熱取得率の計算方法はさまざまですが、ここではまず、単板透明(フロート)板ガラスの日射透過率を JIS A 2103(附属書G) の計算方法で求めることにします。
τd=τ0・τdn
τdn=m0 + m1・cosφ + m2・cos2φ + m3・cos3φ + m4・cos4φ + m5・cos5φ
τd : 入射角φに対する直達日射透過率
τ0 : 入射角0のときの日射透過率
τdn : 入射角φのときの基準化透過率
m0=0,m1=2.552,m2=1.364,m3=-11.388,m4=13.617,m5=-5.146
ここで、吸収日射成分は考えないこととしましたから(エクセル負荷計算では吸収日射成分も考慮しています。)
μd=τd
となるわけです。・・・え、なこと言ったって直感できない・・・・そうですよね・・・これは実際に数値を入れて計算してみてください。 とにかく、φが大きくなるとμdは小さくなるのです。 すなわち、冷房時の日射負荷の計算日=外気温度が最高になる7月下旬から8月上旬には、南向きの窓ガラスの透過日射負荷は過小評価される可能性がある・・・ということで・・・
!!!驚愕の計算例はこちら!!!⇒ガラス透過日射熱取得
結局、日射負荷は方位と時期による影響を大きく受けるということなのです。
【問題点3】直散分離
日射負荷の問題はまだあります。実際問題として、外気負荷を計算するとき以外は、
どちらかというと、外気の温湿度より、日射負荷の影響の方がはるかに大きいのです。
ですから日射負荷条件は、慎重に設定しなければなりません。
ここで従来の日射負荷条件の決め方を考えてみましょう。
その前に、一体日射負荷の実際のデータとは、どのようなデータなのでしょう。
気象庁が観測しているのは水平面全天日射量と呼ばれるものです。
全天日射量とは、前出の直達日射のほかに、拡散日射の成分も含まれます。
拡散日射もしくは拡散成分とは、例えば太陽光が大気圏に突入した時に大気によって屈折、反射した成分である天空日射などで、ほとんど方向性を持っていません。
拡散日射にはこのほかに地物からの反射日射などがあります。
外壁面に対する日射エネルギーを計算するときも、ガラス透過日射熱取得を計算するときも、直達成分は入射角の影響を受けますが、
拡散日射にはもともと入射角という概念がない、言い方を変えればあらゆる角度の平均値(完全拡散の場合)であるため、とにかくこの直達成分と拡散成分を分離しなければならないのです。
この、直達成分と拡散成分を分離するプロセスのことを、「直散分離」といいます。
さて、従来の熱負荷計算の代表選手「空気調和・衛生工学便覧」などのデータは、どうなっているのでしょう。
ここで念のため申し上げますが、このサイトは「空気調和・衛生工学便覧」を否定するものでは決してありません。
ただ、空気調和・衛生工学会ご自身が、その問題点を解決すべく、新しい熱負荷計算方法「HASPEE」をご提案なさっているため、ほんの少し、そのご紹介をしているだけです。
実は・・・・便覧では・・・直散分離はしていません!!!(注3-1)
正確には、法線面直達日射量をBouguerの式を用いて直接計算しています。
Ib=I0・P・cosecβS・・・(2-1)
I0:太陽定数(正確に計算する場合は大気圏外法線面日射量)[W/m2]
P:大気透過率[-]
「建築設備設計基準」(Ref3)においては、その計算方法が明らかにされていませんが、ガラス透過日射熱取得の表を見ると、7月23日ということになっており、 また、データそのものもほぼ便覧に等しく、おそらく、「空気調和・衛生工学便覧」と同様の方法で計算されているのでしょう。 ところで、(2-1)式における問題はどこにあるのでしょう。それは大気透過率 P なのです。 逆に言えば、この P が正確にわかるのであれば、I0を大気圏外法線面日射量に置き換えるだけで、正確に、簡単に法線面直達日射量を求めることができます。 なぜなら、Bouguerの式は理論式なのですから。しかし残念ながら、この P すなわち大気透過率は季節、時刻、地域、天候により異なる値をとるのです。 結局、正確な法線面直達日射量を求めるには、観測値から計算するしかないのです。 そのようなわけで、現在では、水平面全天日射量の観測値と直散分離式を用いて、観測データから直達成分と拡散成分(ここでは天空日射成分)を求めるのが常識化しています。 この直散分離式は、一定期間の観測データから得た回帰式です。一般にはその観測、研究を行った研究者の名前が付けられており、例えば、渡辺先生が考案された直散分離式であれば、 渡辺モデル(Ref4)における直散分離式、あるいは単に「渡辺モデル」と表現します。 ところで、渡辺モデルにおける直散分離式では、大気透過率を使用しています。
「なんだ、それでは意味がないではないですか」
と思われるかもしれません。しかしながら、私たちは、昭和の時代にスパコンと呼ばれていたような高性能なコンピュータを一家に一台、いや一人一台持っているのです。 回帰式の中に大気透過率が含まれていても問題ありません。 直散分離式とBouguerの式の水平面全天日射量の計算結果の差を与える式を用いて収束計算させれば、 瞬時に大気透過率の収束値が得られ、それにより直散分離式の解を得ることができるのです。
注3-1
天空日射量は永田の式を用いて計算していますが、そのもととなる法線面直達天日射量はBouguerの式で計算しています。
Ib=I0・P・cosecβS・・・(2-1)
I0:太陽定数(正確に計算する場合は大気圏外法線面日射量)[W/m2]
P:大気透過率[-]
「建築設備設計基準」(Ref3)においては、その計算方法が明らかにされていませんが、ガラス透過日射熱取得の表を見ると、7月23日ということになっており、 また、データそのものもほぼ便覧に等しく、おそらく、「空気調和・衛生工学便覧」と同様の方法で計算されているのでしょう。 ところで、(2-1)式における問題はどこにあるのでしょう。それは大気透過率 P なのです。 逆に言えば、この P が正確にわかるのであれば、I0を大気圏外法線面日射量に置き換えるだけで、正確に、簡単に法線面直達日射量を求めることができます。 なぜなら、Bouguerの式は理論式なのですから。しかし残念ながら、この P すなわち大気透過率は季節、時刻、地域、天候により異なる値をとるのです。 結局、正確な法線面直達日射量を求めるには、観測値から計算するしかないのです。 そのようなわけで、現在では、水平面全天日射量の観測値と直散分離式を用いて、観測データから直達成分と拡散成分(ここでは天空日射成分)を求めるのが常識化しています。 この直散分離式は、一定期間の観測データから得た回帰式です。一般にはその観測、研究を行った研究者の名前が付けられており、例えば、渡辺先生が考案された直散分離式であれば、 渡辺モデル(Ref4)における直散分離式、あるいは単に「渡辺モデル」と表現します。 ところで、渡辺モデルにおける直散分離式では、大気透過率を使用しています。
「なんだ、それでは意味がないではないですか」
と思われるかもしれません。しかしながら、私たちは、昭和の時代にスパコンと呼ばれていたような高性能なコンピュータを一家に一台、いや一人一台持っているのです。 回帰式の中に大気透過率が含まれていても問題ありません。 直散分離式とBouguerの式の水平面全天日射量の計算結果の差を与える式を用いて収束計算させれば、 瞬時に大気透過率の収束値が得られ、それにより直散分離式の解を得ることができるのです。
注3-1
天空日射量は永田の式を用いて計算していますが、そのもととなる法線面直達天日射量はBouguerの式で計算しています。
【問題点4】蓄熱負荷
あなたは部下あるいは後輩に、こんな質問をされた経験はありませんか。
「間欠運転係数って、いるんですか?、いるならいくつにしますか。」
そもそも間欠運転係数は、空調停止時間の蓄熱分が、空調運転開始時刻以降に放熱されるため、その分を運転開始時刻に限り、係数として乗じようというものです。 もし、先ほどのような質問を受けたとしたら、あなたはどうお答えになったのでしょうか。
「1.1いや、1.05でいいや」
え! 1.05 と 1.1 では5%近くも違うではありませんか。
そもそもこの係数、どこに根拠があるのか定かではありません。面積が0.5[m2]違っているだけで、 外気乾球温度が0.3[℃]違っているだけで気になさる方も、 この手の係数・・・このほかにも冬季方位係数なんてのもありますが・・・意外と無頓着なのです。 実際、空気調和・衛生工学会の動的負荷計算ソフトHASPや 建築環境・省エネルギー機構のエネルギーシミュレーションツールThe BEST Programなどの計算結果によると、蓄熱負荷はかなり大きいことがわかっています。 「空気調和・衛生工学便覧」においては、すでにこの間欠運転係数と冬季方位係数は使用しておらず、「方位蓄熱負荷」という考え方になっておりますが、 いまだに間欠運転係数、冬季方位係数といった、やや根拠のあいまいな係数を用いている場合も多いのではないでしょうか。
「間欠運転係数って、いるんですか?、いるならいくつにしますか。」
そもそも間欠運転係数は、空調停止時間の蓄熱分が、空調運転開始時刻以降に放熱されるため、その分を運転開始時刻に限り、係数として乗じようというものです。 もし、先ほどのような質問を受けたとしたら、あなたはどうお答えになったのでしょうか。
「1.1いや、1.05でいいや」
え! 1.05 と 1.1 では5%近くも違うではありませんか。
そもそもこの係数、どこに根拠があるのか定かではありません。面積が0.5[m2]違っているだけで、 外気乾球温度が0.3[℃]違っているだけで気になさる方も、 この手の係数・・・このほかにも冬季方位係数なんてのもありますが・・・意外と無頓着なのです。 実際、空気調和・衛生工学会の動的負荷計算ソフトHASPや 建築環境・省エネルギー機構のエネルギーシミュレーションツールThe BEST Programなどの計算結果によると、蓄熱負荷はかなり大きいことがわかっています。 「空気調和・衛生工学便覧」においては、すでにこの間欠運転係数と冬季方位係数は使用しておらず、「方位蓄熱負荷」という考え方になっておりますが、 いまだに間欠運転係数、冬季方位係数といった、やや根拠のあいまいな係数を用いている場合も多いのではないでしょうか。
ここから先は新最大負荷計算法「HASPEE」における解決策について簡単にご説明します。
【解決策1】新基準の外気温湿度
従来、乾球温度、絶対湿度をそれぞれTAC処理し、最も厳しい条件を組み合わせ、
これに計算日を固定して計算した日射負荷を組み合わせて外界条件を設定していたわけですが、
HASPEEでは、気温、比エンタルピ、日射量から第1指標、第2指標を決め、それぞれの指標を基準にランキング形式で代表日を決めるなどの操作により、 より現実に近い外界データが与えられています。
HASPEEでは、気温、比エンタルピ、日射量から第1指標、第2指標を決め、それぞれの指標を基準にランキング形式で代表日を決めるなどの操作により、 より現実に近い外界データが与えられています。
【解決策2】冷房時2種類の太陽位置
HASPEEの外界データには冷房用3基準、暖房用2基準の外界データがすべての地点につき用意されています。
当然のことながら、冷房用のデータには、すべて、標準ガラス透過日射熱取得と実効温度差のデータが含まれます。
特に重要なのは、太陽高度角が比較的小さい秋口(9月15日)のデータが用意されていることです。 従って、この秋口のデータを使用して、主に南向き(南東~南~南西)方向の外壁や窓の負荷が過小評価されていないかを確認することができます。 ⇒ガラス透過日射熱取得計算例
実際問題として、コンピューターで計算する際は、冷房用3基準、暖房用2基準のすべてのデータセットで計算し、その最大値を採用すればよいことになります。
特に重要なのは、太陽高度角が比較的小さい秋口(9月15日)のデータが用意されていることです。 従って、この秋口のデータを使用して、主に南向き(南東~南~南西)方向の外壁や窓の負荷が過小評価されていないかを確認することができます。 ⇒ガラス透過日射熱取得計算例
実際問題として、コンピューターで計算する際は、冷房用3基準、暖房用2基準のすべてのデータセットで計算し、その最大値を採用すればよいことになります。
【解決策3】詳細な直散分離
HASPEEの外界データでは、当然のことながら日射量は全て水平面全天日射量を直散分離して求めています。
さらに、直散分離した日射量から斜面(壁面)日射量を計算する際には「Perezモデル」(Ref5)を使用しています。 この「Perezモデル」では、最初に「渡辺モデル」で分離した拡散成分を、さらに細かい以下の3つに分離します。
(A)一様天空成分
(B)太陽方向の高輝度成分
(C)地表面からの反射日射を含んだ水平面付近の明るい成分(地物反射日射とは別)
このうち(A)は、本来の天空日射成分、(B)及び(C)は新たに追加された概念です。
特に重要なのは(B)で、これは明らかな方向性を持っているものとして最終的に直達成分として再算入し、
拡散成分からは除いていることです。
(C)は方位には無関係に常に水平方向から入射し、斜面傾斜角のみに依存して変化とするものとして考えます。
また、便覧では無視されていた、地物からの反射日射も加えられています。
このような細かな操作により、日射負荷条件はより現実に近いデータとして与えられています。
さらに、直散分離した日射量から斜面(壁面)日射量を計算する際には「Perezモデル」(Ref5)を使用しています。 この「Perezモデル」では、最初に「渡辺モデル」で分離した拡散成分を、さらに細かい以下の3つに分離します。
(A)一様天空成分
(B)太陽方向の高輝度成分
(C)地表面からの反射日射を含んだ水平面付近の明るい成分(地物反射日射とは別)
このうち(A)は、本来の天空日射成分、(B)及び(C)は新たに追加された概念です。
特に重要なのは(B)で、これは明らかな方向性を持っているものとして最終的に直達成分として再算入し、
拡散成分からは除いていることです。
(C)は方位には無関係に常に水平方向から入射し、斜面傾斜角のみに依存して変化とするものとして考えます。
また、便覧では無視されていた、地物からの反射日射も加えられています。
このような細かな操作により、日射負荷条件はより現実に近いデータとして与えられています。
【解決策4】実用蓄熱負荷
間欠運転空調における蓄熱負荷に関しては、動的な解析を行うことなく計算が可能なように、
新たに「実用蓄熱負荷」という概念が示されています。
これは、定められた方法により、蓄熱負荷を根拠をもって計算するためのものです。おそらくこれは、HASPEEの最大の特徴ではないかと思われます。 実際に計算してみると、蓄熱負荷は熱負荷計算上、非常に重要なファクターであり、間欠運転係数として「1.05」とか「1.1」とか、安易に決めるべきものではないことが解かります。 さらに近年、情報機器などの待機電力による影響も無視できなくなっているため、冷房時の蓄熱負荷も計算することとしています。
新たに「実用蓄熱負荷」という概念が示されています。
これは、定められた方法により、蓄熱負荷を根拠をもって計算するためのものです。おそらくこれは、HASPEEの最大の特徴ではないかと思われます。 実際に計算してみると、蓄熱負荷は熱負荷計算上、非常に重要なファクターであり、間欠運転係数として「1.05」とか「1.1」とか、安易に決めるべきものではないことが解かります。 さらに近年、情報機器などの待機電力による影響も無視できなくなっているため、冷房時の蓄熱負荷も計算することとしています。
参考文献 Ref1 公益社団法人 空気調和・衛生工学会編:空気調和・衛生工学便覧(第14版),1 基礎編(2012-10)
Ref2 公益社団法人 空気調和・衛生工学会:試して学ぶ熱負荷HASPEE ~新最大熱負荷計算法~(2012-10),丸善
Ref3 国土交通省大臣官房官庁営繕部設備・環境課監修,一般社団法人公共建築協会:建築設備設計基準(平成27年版) (2015-8),一般社団法人公共建築協会
Ref4 渡辺俊之,浦野良美,林徹夫:水平面全天日射量の直散分離と傾斜面日射量の推定,日本建築学会論文報告集第330号(1983-8)
Ref5 Richard Perez,Pierre Ineichen,Robert Seals,Joseph Michalsky,and Ronald Stewart: MODELING DAYLIGHT AVAILABILITY AND IRRADIANCE COMPNENTS FROM DIRECT AND GLOBAL IRRADIANCE(1990)
ご注意
注1: 建築設備設計基準(平成30年板)では、乾球温度の他、比エンタルピそのものをTAC値とすることにより、この問題を解決しています。
注1: 建築設備設計基準(平成30年板)では、乾球温度の他、比エンタルピそのものをTAC値とすることにより、この問題を解決しています。